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最近の病院精神医療—リハビリテーションの可能性
著者: 竹村堅次1
所属機関: 1昭和大学付属烏山病院
ページ範囲:P.6 - P.21
文献購入ページに移動I.はじめに(視点)
諸外国の精神医療の概況を知ろうとすると,いやでも飛び込んで来るのがコミュニティ・ケアの発展の種々相であり,病院精神医療のほうはむしろかすんでいるようにみえる。入院の必要な患者が必ずいるとしても,病床数は減少し,とくにアメリカの十数年来の脱入院化運動の現状を知るに及んでは,日本の現状とあまりにもかけ離れていると思わざるを得ない。今年(1982)京都で開催されたWPA京都シンポジウム・精神科医療のストラテジーの展開—多様な社会におけるその妥当性—の内容を概観しても,この感をいっそう深くする。加藤(正明)によれば,英,韓,加,米,日(3名)の7人の演者で,それぞれの国の精神科医療供給のパターンが紹介されたが,これらを総括して加藤とともに司会を務めたP. Pichot(仏)が次のように総括した47)。
「精神科医療の供給パターンが国によって著しく差があることに改めて気づかされた。どれが最上かということも一概にいえない(中略)。結局univcrsal solutionというものはないのだ。各国が他国を参考にして解決すべきで,他国の方式をそのままコピーしても駄目であるというのが私の結論である。」
諸外国の精神医療の概況を知ろうとすると,いやでも飛び込んで来るのがコミュニティ・ケアの発展の種々相であり,病院精神医療のほうはむしろかすんでいるようにみえる。入院の必要な患者が必ずいるとしても,病床数は減少し,とくにアメリカの十数年来の脱入院化運動の現状を知るに及んでは,日本の現状とあまりにもかけ離れていると思わざるを得ない。今年(1982)京都で開催されたWPA京都シンポジウム・精神科医療のストラテジーの展開—多様な社会におけるその妥当性—の内容を概観しても,この感をいっそう深くする。加藤(正明)によれば,英,韓,加,米,日(3名)の7人の演者で,それぞれの国の精神科医療供給のパターンが紹介されたが,これらを総括して加藤とともに司会を務めたP. Pichot(仏)が次のように総括した47)。
「精神科医療の供給パターンが国によって著しく差があることに改めて気づかされた。どれが最上かということも一概にいえない(中略)。結局univcrsal solutionというものはないのだ。各国が他国を参考にして解決すべきで,他国の方式をそのままコピーしても駄目であるというのが私の結論である。」
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