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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻1号

1983年01月発行

文献概要

研究と報告

側頭葉てんかん患者の記憶機能障害—発作波焦点側と言語性,非言語性記憶機能についての神経心理学的研究

著者: 増井寛治1 丹羽真一1 安西信雄1 亀山知道1 斎藤治1 栗田広1 宮内勝1 浅井歳之1 池淵恵美1 神保眞也1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.55 - P.63

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 抄録 側頭葉てんかんの記憶機能障害を発作波焦点側の左右性との関連で検討した。脳波上,発作波焦点が一側の側頭部に限局しているか,または優位である側頭葉てんかん患者22名(左焦点群10名,右焦点群12名)と正常対照者17名にWAIS,東大脳研式記銘力検査,tachistoscopeを用いた記憶再認検査,Benton視覚記銘検査を課した。その結果は,①東大脳研式記銘力検査で左焦点群は正常群より低成績であった。②tachistoscopeを用いた記億再認検査では左焦点群は右視野呈示の言語性刺激の記憶が他の2群よりも劣った。③Benton視覚記銘検査では右焦点群は正答が正常群より少ない傾向があり,誤答が他の2群より多かった。すなわち,左焦点群は言語性記憶機能が障害され,右焦点群は非言語性記憶機能が障害されていることが認められた。この結果は側頭部発作波焦点の存在が当該部位の正常な脳機能を低下させたために,左右に分化した記憶機能を障害したことによると考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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