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研究と報告
抗てんかん薬長期投与のヒト染色体に及ぼす影響—血清濃度,与薬量,服薬期間と染色体異常との関係を中心に
著者: 松島嘉彦1 山根巨州2 国元憲文3 長淵忠文3
所属機関: 1島根県立精神衛生センター 2島根県立中央病院精神神経科 3鳥取大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.69 - P.77
文献購入ページに移動1)染色体異常を有する異常細胞の出現率(abnormal cell%)と与薬量との間には一定の関係はみられなかったが,血清薬物濃度との間には正の相関傾向が認められた。
2)abnormal cell%と服薬期間との間には有意な相関が認められた。
3)15%を超えるabnormal cell%を示す女子てんかん群(異常群)とそれ以下の群(正常群)の平均服薬期間はそれぞれ16.9年,8.1年であった。
4)染色体形態の異常はギャップ,切断が多く,交換型異常の増加は認められなかった。
このような染色体異常の出現機序としては薬物の直接作用よりも血清成分の変化が重要であると思われた。
また,リンパ球の染色体異常の生体に及ぼす影響について考察し,長期抗てんかん薬服用者に対する染色体検査の必要性を喚起した。
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