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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻1号

1983年01月発行

文献概要

短報

抑うつ状態における「発作性不安」とIgE(その1)—悪化時に異常高値を認めた症例

著者: 定塚甫1

所属機関: 1国立豊橋病院精神科

ページ範囲:P.87 - P.91

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I.緒言
 IgEは,1966年石坂らによる皮膚感作抗体の研究1,2),および同じ頃のJohansonとBennichによるE骨髄腫の発見により既知の免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD)とは異なる新しい免疫グロブリンであることがわかり3),免疫グロブリンE(IgEまたはγE)と命名された4)。IgEの発見は単に新しいクラスの免疫グロブリンを発見したということにとどまらず,アレルギー学,ことにアトピー性アレルギー学を一挙に物理的なレベルで具体的に論議できる科学にまで発展せしめた5)。その後,IgEの構造と機能について精力的に検討された6〜10)。そして今日では,IgE RIST(Radioimmunosorbent Test),IgE RAST(Radioallergosorbent Test)として臨床的に利用されるようになっている。これら免疫学的診断法は多く,アレルギー性疾患においては極めて有効なものとなっている。特に気管支喘息,皮膚炎などが有名である11〜27)。しかし,これら検査法を精神科に適応した報告は著者の知る限りではない。そこで著老は,日常精神科外来で最も頻繁に遭遇する「うつ状態」を示す患者についてIgE RISTを調べその中で測定し得た患者についてIgE RASTの検査も試みた。その結果興味ある症例をいくつか得ることができたので,ここに第1報として代表例1例を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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