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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻10号

1983年10月発行

文献概要

特集 少年非行の心理と病理—東京都精神医学総合研究所 第11回シンポジウムから

遊び型非行と性的非行

著者: 松元泰儀1

所属機関: 1東京家庭裁判所

ページ範囲:P.1025 - P.1033

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I.いわゆる遊び型非行
 1.遊び型非行とは
 通常,万引き,自転車盗,バイク盗など,単純な動機からの軽微な非行で,スリルを求めての遊びとして,或いは遊びの延長のような気分で行うものが,遊び型非行と言われる。この種の非行は,少年非行が鎮静化し減少していた昭和40年代の後半から目立ち始め,その後微増から激増(昭和52年頃より)へと転じた。少年非行の大半はこの種の非行で占められるようになった。戦後第1のピークと言われるほど少年非行は増加しているが,その多くはこの種の非行なのである。
 “遊び型非行”なる言葉を最初に使用したのは警察庁で,昭和45年の警察白書にこの言葉が登場する。つまり,はっきりした概念規定から出発したテクニカルワードではないため,その概念は必ずしも明確ではない。“遊び”と“非行”の2つの概念が複合したものだけに“遊び”の側面から或いは“非行”の側面からその後多くの研究や論述がされているが統一された定義はみられない。しかし上述のようにこの種の非行が数的にも,全非行の中で占める比率においても年々上昇し,非行総数の6割以上を占めるに至り,現代型非行の一つの典型との位置づけがされていること,及び,その動機・態様からみると,たしかに遊びの一環として,或いは遊戯的であると言えるものが多いことから,現代の少年非行の一面を理解するのに意味のある概念と言うことができるだろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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