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特集 少年非行の心理と病理—東京都精神医学総合研究所 第11回シンポジウムから
有機溶剤乱用と犯罪心理—その社会病理及び治療との関連性
著者: 小田晋1
所属機関: 1筑波大学社会医学系精神衛生学
ページ範囲:P.1043 - P.1050
文献購入ページに移動 1960年代以後の日本での青少年の薬物乱用問題のひとつの中心的課題であった有機溶剤乱用は,今日,いちおう従来の知見を集約し,歴史的評価を下し,かつ対策について考える時期が来ているように思われる。それは,全世界の産業化社会をおおった社会病理のひとつの表現としての薬物副次文化の一環であり,犯罪,非行とむすびつく逸脱行動の一類型である。非行関連的には,従来いわれてきた酩酊体験による犯罪行動の解発の他,動因喪失症状群と関連した〈apathy型非行〉つまり労働嫌忌や欲動の抑制不能と結びついた小非行が重要である。重大犯罪に関しては,〈薬物起原の情性欠如〉という要因が注目される。対策についていえば,社会的対策の他,個人療法としての行動療法的計画に従って治療をすすめてゆく必要性が指摘される。
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