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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻10号

1983年10月発行

文献概要

研究と報告

重度精神遅滞児の精神運動性興奮について—臨床像の類型化の試み

著者: 弟子丸元紀1 室伏君士2 小笠原嘉祐2

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神医学教室 2国立療養所菊池病院

ページ範囲:P.1073 - P.1081

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 抄録 重度精神遅滞児の内,精神運動性興奮を示すのに,1)自生的興奮を示す重度精神遅滞児,2)脳の破壊的傷害を伴う脳性小児麻痺児,3)重度精神遅滞を伴う自閉症児がある。特に自生的興奮を示す重度精神遅滞児は,身体発育は良く,神経学的に粗大な異常はないが,小奇形を伴うものがある。精神発達面は,運動面・日常生活動作は良いが,探索・操作,社会性,言語面の遅れがある。興奮状態は,周囲状況への反応症状よりも,自生的とも言える発生状況で,周囲に無関係の情動爆発,攻撃・乱暴行為,運動心迫,また動作の途絶を示す。これらは,内的な情動・欲動の調節障害によると考える。これらの児童は,重度精神遅滞の内で,特異な一臨床類型と考える。脳の破壊的傷害を伴う脳性小児麻痺児の興奮は,周囲状況への反応症状で,情動・欲動の抑制障害であり,重度精神遅滞を伴う自閉症児のそれは,同一性保持要求などの妨害に対する情動混乱・爆発反応によると考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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