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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻11号

1983年11月発行

文献概要

研究と報告

神経遮断剤により急性腎不全を来した2例

著者: 大山繁1 舛井幸輔2 古賀裕1 宮川太平1 鈴木高秋3 吉永卓見3 山鹿真紀夫4

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神科 2熊本県立富合病院 3飯塚病院 4熊本大学医学部救急治療室

ページ範囲:P.1189 - P.1195

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 抄録 神経遮断剤により惹起されたと思われる急性腎不全の2例を報告した。症例1は35歳の男性,症例2は29歳の男性で,ともに精神運動興奮,昏迷,拒絶症などの緊張病症候群がみられ,比較的大量の神経遮断剤が経口,非経口的に投与され,1例はECTも施行された。2例とも尿閉,著明な低血圧,循環虚脱状態に続いて急性腎不全が発現した。症例1は譫妄状態,両下肢の知覚運動障害がみられたが,腹膜灌流,血液透析により回復した。症例2は急性腎不全と同時に悪性症候群を併発したが,強心剤や利尿剤投与,輸液などにより回復した。上述した2例の急性腎不全は,神経遮断剤の腎に対する直接毒性というより,神経遮断剤による血圧低下,循環虚脱状態が主因と考えた。その他の要因として,心血管系あるいは自律神経系などの脆弱性,緊張病症候群に伴う身体疲弊状態,悪性症候群による頻脈や脱水(症例2)などが関与していると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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