icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻12号

1983年12月発行

文献概要

特集 カルバマゼピンの向精神作用

情動障害に対するカルバマゼピンの効果と脳波変化

著者: 赤沢滋1 井上令一1

所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1275 - P.1284

文献購入ページに移動
 抄録 Carbamazepine(CBZ)を躁うつ病患者に投与し抗躁効果,躁うつ病相の予防効果を認めたとの報告がみられるが,CBZが古くから基礎波を中心とした脳波変化を惹起することが知られているにもかかわらず,CBZが治療対象となった躁うつ病および躁,うつ状態の脳波所見についての報告は乏しい。われわれはbipolar disorder 5例,major depressive disorder 2例,schizoaffective disorder 2例にCBZを投与し臨床効果と脳波変化について検討した。以上の9例中8例でCBZ投与により症状の軽快を認め,脳波では基礎波の徐波化が示された。さらにその徐波群が過呼吸により著明に増強され,しばしば突発性徐波として出現した。上記の脳波変化は臨床効果のみられた時期に一致して出現し,持続する傾向があった。以上から情動障害を主症状とする疾患群でCBZが有効に作用し上述の脳波変化を示す一群は臨床的にもいくつかの特徴を示し,より生物学的な規定性をもつと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?