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特集 カルバマゼピンの向精神作用
精神障害に対するカルバマゼピンの使用状況についての一調査—躁うつ病,精神分裂病を中心に
著者: 大熊輝雄1
所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1305 - P.1315
抄録 現在,わが国においてカルバマゼピンがてんかん以外の精神障害の治療に使用されている状況を知るために,その発売者である日本チバガイギー社が日本精神神経学会会員に対して簡単なアンケート調査を行った。回答者は404名で回答率は8.0%にすぎなかったが,カルバマゼピンが躁うつ病躁病相,精神分裂病,非定型精神病その他多種類の精神障害に使用され,ある程度の有用性を認められていることがわかった。また回答を寄せた医師の一部に症例記録の作製を依頼し,躁うつ病81例,精神分裂病72例の症例記録が蒐集された。躁状態,うつ状態について,改善例と非改善例とで背景因子の相違の有無を調べたが,有意差はみられなかった。精神分裂病については,興奮,多弁・多動,衝動行為など感情障害に関係した症状にたいして有効であることが示唆された。本調査の意義や限界について簡単な考察を行った。
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