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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻2号

1983年02月発行

文献概要

特集 薬物と睡眠をめぐって

薬物による徐波睡眠の変動とその意義

著者: 中沢洋一1 小鳥居湛1 大川敏彦1 野中健作1 今任信彦1 横山敏登2

所属機関: 1久留米大学医学部精神科 2十全会・回生病院

ページ範囲:P.159 - P.167

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I.徐波睡眠(SWS)の同化機能と薬物
 REM睡眠と異なってSWSの一夜の出現率には個人差が大きいので,その臨床的,生理的意義について研究者の関心は高い1,2)。SWSは睡眠の同化相であると考える人は多いが3,4),その根拠の一つは,入眠後の最初のSWSに一致して成長ホルモン分泌亢進がヒトや動物でおこるという高橋らの発見である5,6)(図1)。その他にもこの説を支持する多くの報告がある。すなわち,昼間の異化作用が亢進しているhyperthyroidismでは睡眠中にSWSと成長ホルモンの分泌の増加がみとめられる7);hypothyroidismでは逆にSWSは減少し,甲状線機能が回復するとSWSは正常範囲に戻る8,9);身体運動を負荷するとSWSや成長ホルモン分泌が増加する10〜14);断食を続けるとSWSが増加し15),異化ホルモンであるコーチゾルはSWSの間に分泌を停止する16);睡眠中のO2の消費量はSWSの間で最低となる17);%st.4と基礎代謝率の間には有意の負の相関がみとめられる18)
 これらの報告に対しては若干の異論がないわけではない。たとえば昼間の運動負荷によってもSWSは増加しないという報告がある19〜22)。Johnsらは初め,健康正常人のfree thyroxine indexで評価した甲状腺機能とSWSの出現量の間に有意の正の相関をみとめたが23,24),症例をふやしたその後の研究では相関をみとめていない25)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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