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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻3号

1983年03月発行

文献概要

特集 精神医学における病態モデル

動物モデルによるうつ病への接近

著者: 永山治男1

所属機関: 1大分医科大学精神神経科

ページ範囲:P.259 - P.264

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I.はじめに
 うつ病の動物モデルについてはもはやその可能性の論議の段階は過ぎ,実用の段階に入りつつある。これまでに多数のモデルが報告されているがあるものはうつ病の精神病理学的側面を明らかにすることを目的とし,あるものは抗うつ剤の作用機序またはうつ病の脳内機序の解明,あるいは単に抗うつ剤のスクリーニングを目的としている。しかし多くは複数の目的を有しているようである。これらのモデルを用いてすでに多くの興味ある事実が報告されている15)
 Mckinney,Harlow,Suomiらのウィスコンシングループのサルの分離モデルは最も系統的に研究されたモデルの一つであろう。作成方法としては母子分離3,4,25)・仲間分離6,7,22)などが報告されているが最も有効なのは全社会分離である。たて長・樋状で内部は最大部でも1辺1フィートの狭い特製の垂直室に1〜1.5ヵ月間幽閉されたサルは部屋から出された後も7〜8週間にわたって移動運動・探索行動が有意に減少し,体をまるめてじっとうづくまっている。プレールームに出されても社会的接触や遊びをほとんど示さない2,8,23)。このモデルを用いて各種の実験が行なわれている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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