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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻4号

1983年04月発行

特集 聴覚失認

音声弁別の神経機構

著者: 丸山直滋1

所属機関: 1新潟大学脳研究所神経生理学部門

ページ範囲:P.330 - P.336

文献概要

I.はじめに
 聴覚生理学の研究は,近年聴ニューロンの音刺激に対する反応を分析することによって進められてきた。10年ほど前まで,使用される刺激音は,ほとんど純音に限られていた。研究が次第に中枢のほうに進むにつれて,純音刺激だけではその機能を解明できないことがわかってきた。動物の鳴声などの自然音を刺激に用いる研究者も現われたが,単に自然音だけでは,種々のパラメータを自由に変えることが出来ないため,それ以上の分析を進めることができない。また性質の明らかな合成音を用いる研究者も現われたが,音声とのつながりを見通すことのできる合成音の系列を持っていないと,結局大きな発展を望むことができない。筆者らは,ネコを用い,ネコの鳴声の分析結果を参考にして,音声と関連付けることのできる合成音を用いて実験を進めた。その結果,大脳聴覚野における音声弁別の機構の一端を解明できた。この研究は,聴覚生理学と音声学の接点においてなされたものであり,両方についてある程度の知識がないと理解し難い。以下簡単に先人の業績を紹介してから筆者らの研究について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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