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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻4号

1983年04月発行

特集 聴覚失認

Akustische Allästhesieと聴空間認知障害

著者: 田辺敬貴1

所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.395 - P.405

文献概要

I.はじめに
 「Akustische Allästhesieと聴空間認知障害」に含まれる現象について,神経科領域では恐らくhemineglect syndromeにおけるneglectからallesthesiaを経てextinctionという経過,およびCritchley12)やHeilman32)らのように,これら3症状がhemineglect syndromeの異なった現われであるとの指摘より,半側空間無視との関係から考え,一方耳鼻科領域ではauditory allesthesiaの現象が一種の音源定位障害であるとの考えより,この論題を方向感障害として考えるかもしれない。ただしallesthcsiaの現象を単に方向感障害として片付けてしまうことには問題があり,その近縁症状であるneglectやextinctionの現象は単なる方向感障害とは異なる。以上の観点から,この論題に含まれる現象を列挙したのがTab. 1である。そしてこれらの現象の責任病巣としては,主として頭頂葉および側頭葉が重視され,一部視床等の関与も指摘されている。
 ところで,外空間の認知障害についての検討は,そのほとんどが視空間を対象としており,これらの聴空間における認知障害に関する検討は甚だ少ない。事実,Frederiks21)はTab. 2に示す中枢性聴覚認知障害の分類の中で,d)unilateral auditory disorder of attentionおよび f)auditory disorders of localizationいずれの項目でもこれらの現象を挙げており,その位置付けさえもが問題となっている。さらに,これらの現象の中には,その名前すら神経心理学の教科書に記載されていないものもあるので,まず各現象を紹介し,その後でallesthesiaとextinctionの現象を中心に自験例を含め文献的考察を加える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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