文献詳細
研究と報告
視覚誘発電位による感情精神病の研究(その2)—双極症例における躁・うつ両病相の比較
著者: 遠藤俊吉1 佐伯彰1 倉岡幸令1 落裕美1 田島祐三1 広瀬貞雄1
所属機関: 1日本医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.467 - P.475
文献概要
(2)全14例中観察期間内に躁.うつ両病相を迹続的に示したものは8例で,このうち5例では,先行するうつ病相とこれに連続する躁病相の双方で対比的にVEPを記録できたが,3例では両病相のどちらか一方でしか記録しえなかった。また観察期間中に躁病相のみ呈したもの3例,うつ病相のみ呈したもの3例で,各々それぞれの病相でVEPを記録した。
(3)躁病相では,観察期間中躁病相のみ呈したものも,うつ病相から連続的に躁転したものも,その精神作業負荷後の平均振幅比は高値で平均130.1±16.2%であり,精神作業負荷後のP100波振幅の増大が示された。うつ病相では,躁病相に先行したものではその平均振幅比が平均79.3±13.7%と低く,これに連続した躁病相の平均129.5±19.2%に比し有意な対照的差異を示した。うつ病相のみ孤立的に呈した症例は3例のみであるが,その平均振幅比の平均値は126.3±14-0%と高値であった。
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