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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻5号

1983年05月発行

文献概要

研究と報告

下部脳幹梗塞でみられた精神症状について

著者: 伊藤陽1 山村定光2 中村仁志夫2 外山孚3 内藤明彦1 澤政一1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2新潟大学脳研究所脳神経病理学教室 3新潟大学脳研究所脳神経外科学教室

ページ範囲:P.491 - P.499

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 抄録 リウマチ性心臓弁膜症を有する41歳の女性において,錯乱,脱抑制,演劇的傾向→自発性減退→多幸症と変遷する多彩な精神症状と,末期には外眼筋麻痺,交代性片麻痺などの神経症状が認められ,剖検では中脳,橋部,小脳などに多発性の脳梗塞が見出だされた。この症例の精神症状の成因としては,心因性,内因性および症状性の諸要因がある程度は関与している可能性も考えられたが,主なる原因は下部脳幹の梗塞病変であると考えられた。この考えは従来の下部脳幹器質性病変の報告において,かなりの割合でこの症例と同様の情動・意欲に関連した精神症状がみられることから支持され,下部脳幹機能の障害と密接に関係した精神症状である可能性が考察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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