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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻5号

1983年05月発行

文献概要

研究と報告

精神症状を呈したWegener肉芽腫症の1小児例

著者: 牧原寛之1 恵谷すま子2

所属機関: 1兵庫医科大学神経精神科 2兵庫医科大学小児科

ページ範囲:P.535 - P.540

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 抄録 膠原病の精神症状として全身性エリテマトーデスの場合が知られているが,皮膚筋炎,結節性動脈周囲炎,強皮症でも報告がみられる。今回われわれはその経過中に,急性精神病状態を呈し精神活動遅滞状態を経て回復したWegener肉芽腫症の1男児例を経験した。急性症状には幻覚,思考障害などが含まれるが同時に注意集中困難,計算力及び記銘力の障害,部分的な健忘を伴った。精神活動遅滞状態は,性格変化または痴呆化を疑わせるほどであった。
 鑑別疾患として,Wegener肉芽腫症にたまたま随伴した精神病,脳を含む身体への侵襲による二次的症状,及びステロイド惹起性精神病を検討し,本例をWegener肉芽腫症の症状精神病と判断した。そして全身性エリテマトーデスにおける精神症状と比較しながら膠原病一般の精神症状を考察し,代謝性中毒性因子が占める病因的役割について論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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