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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻6号

1983年06月発行

文献概要

研究と報告

パリ地区における邦人の精神障害—“病的旅”および放浪について

著者: 植本雅治1 森山成彬2 大西守3 濱田秀伯4 小泉明5 藤谷興一6 渡辺俊三5

所属機関: 1神戸大学医学部精神神経科 2九州大学医学部神経精神科 3東京慈恵会医科大学精神神経科 4慶応義塾大学精神神経科 5弘前大学医学部神経精神科 6東京医科歯科大学神経精神科

ページ範囲:P.597 - P.605

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 抄録 1978年1月から81年8月までの32ヵ月間にパリ地区で発生した邦人精神障害者28例の診療経験を報告した。そのうち「旅行者群」には反応性のものの他に,日本で精神科受診の既往歴のある分裂病例があり,海外旅行体験が直接病勢再活性化の誘因となっていた。「一時滞在者群」は最も多く,その社会的・経済的不安定性が不適応と症状発生に関与しているものが多かった。慢性妄想病患者もすべてこの群に含まれ,分裂病者と同様に“病的旅”(voyagc pathologique)の例が注目された。しかし,分裂病者と慢性妄想病者との間には,“病的旅”と放浪による,言語的・非言語的コミュニケーション遮断状況での破綻に病像の差がみられた。神経症例では,特に一時滞在者で,帰国後の境遇に対する恒常的な不安が根底にあり,その上にたって現地異性との交際が発症のきっかけになりやすい傾向があった。「定住者群」では,飲酒との関連が多いとの印象を受けた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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