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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻6号

1983年06月発行

文献概要

研究と報告

向精神薬治療中に心電図異常を呈する患者と呈しない患者に対するβ-受容体遮断剤Carteololの効果の比較

著者: 高柴哲次郎1 有田真2 佐々木勇之進1

所属機関: 1恵愛会福間病院 2大分医科大学生理学教室

ページ範囲:P.617 - P.625

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 抄録 向精神薬服用中の患者で,ECG正常者15名(男8,女7,平均年齢31.0歳)と異常者22名(男13,女9,平均年齢39.5歳)を選び,各群に対しβ-受容体遮断剤Carteololを1日10mg(分2)7日間投与し,その前後における心拍数,血圧,心電図変化を検討した。
 結果1)心拍数は,ECG正常群では有意な変化がなかったが,異常群では21%の減少を示した。2)T波高(V5)は,正常群でも異常群でも有意な変化がなかったが,異常群のうち(T波高/R波高)≦0.2以下の患者6例についてみると,T波高は有意に増高(改善)した。3)補正QT時間は正常群では変化なく,異常群では平均0.46秒と病的に延長していたものが0.42秒へと短縮(正常化)した。4)PQ,QRS時間,および収縮期,拡張期血圧には両群とも有意な変化がみられなかった。以上より,Cateololは5mg朝・夕2回の投与で,向精神薬による頻脈と心電図再分極相の異常を有意に改善するといえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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