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研究と報告
部分発作重積,片麻痺などの症状を呈した糖尿病の1例
著者: 藤原洋子1 大山繁1 宮川太平1 服部英世2
所属機関: 1熊本大学医学部神経精神科 2内藤病院
ページ範囲:P.653 - P.661
文献購入ページに移動患者は約10年間の糖尿病歴を有する40歳の女性で,過去にてんかん発作の既往はなく,分娩を契機として,高血糖とともに意識障害・眼振発作を伴う部分発作の重積。左片麻痺および著明な脳波異常を示した。これらの症状は抗てんかん薬では効果なく,インシュリンによる糖代謝改善とともに消失した。また本例ではその経過中偶発的に生じた低血糖状態において,左側の同名性半盲と同側の幻視および図型模写障害などが出現したが,血糖値の是正によりこの症状は消失した。
本例にみられた脳局所性精神神経症状の発現機序に関して考察を行なった。その結果,本例ではインシュリン不足あるいは低血糖のための糖利用障害という代謝性因子が付加されることにより,右半球に存在していた何らかの脆弱部位の症状が発現したものと考えた。
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