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研究と報告
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抄録 偽性偽性副甲状腺機能低下症の同胞例を経験し報告した。症例は偽性偽性副甲状腺機能低下症の父(既報)をもつ5人兄弟の末弟(27歳,症例1)および(長男39歳,症例2)で,いずれも短躯,短指趾などの特徴的身体所見を有し,テタニーの既往なく,X線写にて中手骨の短縮と頭蓋の肥厚とを認めた。血清電解質はつねに正常,Elthworth-Howard testも正常反応を示し,いずれも偽性偽性副甲状腺機能低下症と診断された。知能険査では,症例1はIQ=71,症例2はIQ=67で軽愚程度の精神遅滞が認められたほか,共通して,気弱で過敏で,ひがみやすく,社会性の未熟な性格であり,ともに何らかの適応障害を来していた。次いで両症例を含む本邦報告例30例について,文献的検討を行なった。その結果,本疾患には従来報告されているよりもなお高率に知能障害を合併しているものと考えられた。
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