文献詳細
研究と報告
長期てんかん薬服用患者における服薬時間と血中濃度の関係
著者: 原田正純1 森山茂2 沼田陽市2 宮川洸平2 三浦節夫3
所属機関: 1熊本大学体質医学研究所気質学 2熊本大学医学部神経精神医学教室 3熊本精神病院
ページ範囲:P.741 - P.747
文献概要
(2)DPA,DHT,CBZ,PBの順で服薬時間によって血中濃度に大きな差が認められた。すなわち,最高値と最低値の差はDPAでは最高18倍,10〜6.7倍の差がみられ,DHTで5.3倍から2倍,CBZで2〜3倍,PBでは最高2倍でそれ以下の差がみられた。服薬時間による血中濃度の差の大きさは抗てんかん薬の半減期の短いもので著明である。
(3)最高値と最低値を示す服薬時間は抗てんかん薬の種類によってほぼ一定しており,一定のパターンが認められた。すなわち,最高値はDPAで8時服薬時,DHTで17時,CBZで5時,PBで24時であった。このパターンは薬物の吸収機能にみられる概日リズムの結果と考えることができる。
(4)実際に服薬中の患者が対象であったために,残留薬物の影響,抗てんかん薬や向精神薬との相互作用の影響などの問題が残る。しかし,実際に治療中の患者において,服薬時間によって血中濃度に大きな差がみられることは,抗てんかん薬の有効濃度や中毒量の判定など考慮しなければならない問題を多く含んでいる。
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