icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻7号

1983年07月発行

研究と報告

長期てんかん薬服用患者における服薬時間と血中濃度の関係

著者: 原田正純1 森山茂2 沼田陽市2 宮川洸平2 三浦節夫3

所属機関: 1熊本大学体質医学研究所気質学 2熊本大学医学部神経精神医学教室 3熊本精神病院

ページ範囲:P.741 - P.747

文献概要

 (1)長期抗てんかん薬服用患者について並{中濃度と服薬時間との関係を検討したQ抗てんかん薬を24時間服薬中止後,1週間の間隔でそれぞれ5時,8時,12時,17時,21時,24時の6回服薬してもらい30分後に採血し,EMIT法でPB,DHT,CBZ,DPAの血中濃度を測定した。
 (2)DPA,DHT,CBZ,PBの順で服薬時間によって血中濃度に大きな差が認められた。すなわち,最高値と最低値の差はDPAでは最高18倍,10〜6.7倍の差がみられ,DHTで5.3倍から2倍,CBZで2〜3倍,PBでは最高2倍でそれ以下の差がみられた。服薬時間による血中濃度の差の大きさは抗てんかん薬の半減期の短いもので著明である。
 (3)最高値と最低値を示す服薬時間は抗てんかん薬の種類によってほぼ一定しており,一定のパターンが認められた。すなわち,最高値はDPAで8時服薬時,DHTで17時,CBZで5時,PBで24時であった。このパターンは薬物の吸収機能にみられる概日リズムの結果と考えることができる。
 (4)実際に服薬中の患者が対象であったために,残留薬物の影響,抗てんかん薬や向精神薬との相互作用の影響などの問題が残る。しかし,実際に治療中の患者において,服薬時間によって血中濃度に大きな差がみられることは,抗てんかん薬の有効濃度や中毒量の判定など考慮しなければならない問題を多く含んでいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら