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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻7号

1983年07月発行

紹介

Parisの市民病院「Hôtel Dieu」とWürzburgのユリウス市民病院「Juliusspital」について—ヨーロッパ精神病院小史

著者: 伊東昇太1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院精神神経科

ページ範囲:P.759 - P.769

文献概要

I.まえがき
 フランス革命前後のParisの「市民病院」Hôtel Dieuを含めた精神病施設の活動は,M. Foucaultによって詳細に論じられているのは周知の如くである。このFoucaultの出版で専門領域に働く者が痛烈な刺激を受けたことは明白で,K. Dorner,M. Schrenkの引用にも知ることができよう。このフランス史家の記述の迫力のあるのは,読者をして果して今日においてすら制度上また治療上過誤を,つまり前車の轍を踏んでやしないかとの不安のかりたてられるためであろう。ちなみに科学としての精神医学の誕生がP. pinel(1745〜1826)に求められがちであるが,これには批判があり,患者解放についてはイタリーの先駆的医師V. Chiarugi(1759〜1820)が彼にさきがけて実践しているという。このような記述をみるときPinelの神格化への反省がせまられる。つまりPinelをめぐる「脱神話化」Entmythologisierenの作業が依然として識者の関心となっていて,それへの準備作業として表記の病院の事情を述べ,当時の医療施設の管見記としたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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