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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻9号

1983年09月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者の適応阻害要因の研究—デイ・ホスピタルでの集団における地位と対人選択の特徴

著者: 太田敏男1 池淵恵美1 増井寛治1 亀山知道1 平松謙一1 安西信雄1 宮内勝1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.935 - P.944

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 抄録 われわれは,精神分裂病患者の適応阻害要因を把握する目的で,デイ・ホスピタルにおいて,患者の集団内での勢力(パワー)の強さから地位を評定し,ソシオメトリーで対人選択を調べ,地位と対人選択との関係を検討した。その結果,地位の低い患者の中に,上位の相手のみを選択する上位選択群と,主として下位の相手を選択する下位選択群という2類型を見いだした。臨床的には,下位選択群は作業能力は比較的高いが集団参加が非常に困難であるという集団内行動特徴を有し,破瓜型は1例もなかった。対照的に,上位選択群は集団参加は比較的容易だが作業能力が特に低いという特徴を有し,破瓜型が多かった。以上の結果は,分裂病性欠陥が軽く,作業能力も保たれ,伝統的類型診断では軽症とされる患者群の中に,対人行動のゆがみのために社会適応の困難な一群が存在することを示している。本研究はこのような患者の社会復帰活動に示唆を与えるものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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