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文献詳細

雑誌文献

精神医学25巻9号

1983年09月発行

文献概要

研究と報告

幼児自閉症における“折れ線現象”の特異性—I.現象の記述と先行因子および早期発達について

著者: 栗田広1

所属機関: 1国立武蔵療養所神経センター診断研究部

ページ範囲:P.953 - P.961

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 抄録 幼児自閉症261例,精神遅滞195例において有意味語の消失などの“折れ線現象”を検討した。折れ線現象は,幼児自閉症で精神遅滞より有意に出現率が高く,幼児自閉症およびその近縁の発達障害に,かなり特異的な現象と思われる。折れ線現象は幼児自閉症では37.2%に出現し,男子では34.7%,女子では51.3%であり,有意に女子での出現率が高い。折れ線現象の大部分は一度出現した有意味語の消失であり,発症月齢は10ヵ月より30ヵ月にわたり,中央値は18ヵ月である。始語月齢より折れ線現象発症までの期間は最長22ヵ月で,73.1%は6ヵ月以内である。始語月齢は,折れ線現象を有する幼児自閉症(折れ線型自閉症)では,有意にそれのない幼児自閉症より早い。折れ線型自閉症の早期の運動発達は,正常児に比して差がない。折れ線現象の出現,その後の発達水準の低下と出現する行動的症候の類似性は,折れ線型自閉症と崩壊精神病が同一疾患である可能性を示唆する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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