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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻1号

1984年01月発行

特集 精神疾患に対する神経内分泌的アプローチ

Thyrotropin-Releasing Hormone(TRH)に対するProlactin(PRL)反応とうつ病亜型

著者: 吉田秀夫1 高橋良1

所属機関: 1長崎大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.27 - P.37

文献概要

I.緒言
 レセルピン,テトラベナジン(TBZ)は,ヒト,ラットに臨床的に区別のつかない抑うつを引き起こすことが知られている。一方,レセルピンは,プロラクチン(PRL)の分泌促進作用を示すことも知られている16,31)。ヒトでの研究では,PRL分泌の中枢性調節機序はドーパミソ(DA)により,優位に抑制性の調節を受けている47)一方で,最近セロトニン(5HT)が促進的に作用することが報告されている27)
 我々は従来から,TBZを用いたモデルうつ病ラットでの行動学的・生化学的所見より,TBZによる鎮静は,中枢5HT代謝回転の充進と一致する51)ものであり,逆に三環系抗うつ剤クロミプラミン(CMI)による抗うつ効果は,中枢5HTレセプター活性の減少と一致する48,49)ことを報告して来た。
 ヒトうつ病者における髄液5-ヒドロキシインドル酢酸(5HIAA)の低値所見は,うつ病における5HT代謝回転の低下を示唆したが,三環系抗うつ剤の慢性投与により治療的改善の得られているときに,更に5HIAA値が低下する所見は,従来のうつ病における5HT欠乏説とは相いれない所見である。
 我々は,うつ病者について中枢5HT活性亢進仮説を検証するために,ヒト躁うつ病者に対してサイロトロピン放出ホルモン(TRH)負荷を行ない,下垂体ホルモン反応を調べているが,その結果ホルモン反応がうつ病の亜型分類に役立つことを見出した。
 今回はこれらについて総合的に報告し,単極型うつ病の成因における5HTの役割について考察を加えた。更に炭酸リチウムの作用機序についても神経内分泌学的検討を加えたので報告したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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