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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻1号

1984年01月発行

文献概要

研究と報告

口部ジスキネジアと分裂病性痴呆

著者: 大山繁1 松永哲夫1 野浦洋子1 武原重春1

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.81 - P.86

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 抄録 神経遮断剤により惹起された口部ジスキネジアを有する分裂病患者40例(ジスキネジア群)と,性,年齢,分裂病の罹病期間,学歴の一致した対照患者40例(対照群)に,脳波検査と長谷川式簡易知的精神機能評価スケール(DRスケール)のテストを行った。また約半数の患者で血中プロラクチン値(PRL)を測定した。異常脳波の出現率とPRLは,ジスキネジア群,対照群に有意差は認められなかった。DRスケールではジスキネジア群が知的機能低下はより著明であった(p<0.005)。
 ジスキネジア群に認められた有意の知的機能低下は,異常脳波出現率やPRLに差がないことや最近の分裂病患者の知的機能に関する報告とあわせ考えると,神経遮断剤の副作用だけでは説明困難と思われた。分裂病患者のなかには知的機能低下を来す亜型の存在が推定されているが,そのような一群の患者によりジスキネジアが発症しやすいのかもしれない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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