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短報
自閉症児におけるデキサメサゾン抑制試験
著者: 星野仁彦1 大野芳義1 山本俊昭1 橘隆一1 村田繁雄1 横山冨士男1 金子元久1 熊代永1
所属機関: 1福島県立医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.100 - P.102
文献購入ページに移動デキサメサゾン抑制試験(Dexamethasone Suppression Test,以下DST)は,negative fecd back機構によって視床下部-下垂体-副腎皮質系(Hypothalamopituitary Adrenal axig,以下HPA-axis)の機能を調べる検査として内科領域ではCushing症候群の診断などに応用されている。精神科領域では,Carrollら2〜4)をはじめとする研究者により,内因性うつ病でcortisol分泌の抑制欠如(Non-supprcssor)がみられることが報告されている。児童精神科領域ではこれまでわずかに,Poznanskiら7)が前思春期のうつ病者を対象にしてDSTを行なっているにすぎない。
さて,近年小児自閉症ではその原因として脳内の5-Hydroxytryptamine(以下5HT)代謝異常が想定され,血液,尿,髄液中の5HTやその関連物質についての研究が重ねられている。脳内のHPA-axisは,視床下部のcatccholamineと5HT代謝によって影響を受けることが知られているが,近年自閉症児において,血漿5HTの日内変動の異常と同時にcortisol濃度の日内変動もみだれていることが報告され,自閉症におけるHPA-axisの異常が推測される。
今回年長の自閉症児を対象としてDSTを行ない,正常対照群や慢性精神分裂病群と比較検討して興味ある結果を得たので報告する。
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