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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻10号

1984年10月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病における幻聴と他の症候との関連—Wittgensteinの言語哲学に基く考察

著者: 酒井明夫1 鈴木広子1 前田河孝夫1 広瀬清孝1 岡本康太郎1 三田俊夫1 切替辰哉1 石渡隆司2

所属機関: 1岩手医科大学医学部神経精神科学教室 2岩手医科大学教養部哲学教室

ページ範囲:P.1039 - P.1048

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 抄録 精神分裂病における幻聴と考想化声,思考吹入,妄想知覚などとの間の関連性を検証することを目的とし,幻聴体験を有する75例について問診を行なった。その結果,体験される対象,体験と関連する身体部位,およびそれと結びつく動詞,体験の意味付けなどの項目からなる言語表現のcontextには,思考性と感覚性との間のあいまいさが認められた。このような事実を考察する方法論として,L. Wittgensteinの仮説が適用され,表現上のあいまいさは,体験自体のあいまいさと等値であること,したがって分裂性幻聴として一括される体験群は思考と感覚を両極とする連続体として捉えうることが明らかにされた。そして,考想化声,思考吹入,妄想知覚などの形式を持つ体験も,そうした連続体上に位置するという点で,分裂性幻聴と関連すると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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