文献詳細
研究と報告
脳卒中後遺症患者の夜間せん妄
著者: 田中恒孝1 種村純2 望月秀郎2 山本晴康2 藤田勉2
所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室 2リハビリテーションセンター鹿教湯病院
ページ範囲:P.1069 - P.1075
文献概要
亜急性期,慢性期を問わず脳全体機能が著しく低下している患者は,入院による環境変化を契機にせん妄を呈するものが多く,このような患者のせん妄内容は貧困で運動不穏と意識混濁が前景に立った。一方,知的機能がある程度保たれている患者が夜間せん妄を呈するときには,身体的ないしは心理的誘因の認められる場合が多く,せん妄は錯覚,幻覚や妄想に彩られた。これらの体験内容は不安や苦悶など日頃の患者の心理を反映する場合が少なくなく,患者の抱いている不快感情が体験の中に直接的に表現されることもあるが,現実を否認した願望充足的な内容となって現われる傾向のあることを認めた。
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