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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻10号

1984年10月発行

研究と報告

脳卒中後遺症患者の夜間せん妄

著者: 田中恒孝1 種村純2 望月秀郎2 山本晴康2 藤田勉2

所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室 2リハビリテーションセンター鹿教湯病院

ページ範囲:P.1069 - P.1075

文献概要

 抄録 リハビリテーション病院入院中の脳卒中後遺症患者のうち,夜間せん妄を主訴として精神科を受診した59例(男性33例,女性26例,44〜78歳で平均65.5歳,右片麻痺27例,左片麻痺31例,両片麻痺1例)について夜間せん妄の様相を検討した。
 亜急性期,慢性期を問わず脳全体機能が著しく低下している患者は,入院による環境変化を契機にせん妄を呈するものが多く,このような患者のせん妄内容は貧困で運動不穏と意識混濁が前景に立った。一方,知的機能がある程度保たれている患者が夜間せん妄を呈するときには,身体的ないしは心理的誘因の認められる場合が多く,せん妄は錯覚,幻覚や妄想に彩られた。これらの体験内容は不安や苦悶など日頃の患者の心理を反映する場合が少なくなく,患者の抱いている不快感情が体験の中に直接的に表現されることもあるが,現実を否認した願望充足的な内容となって現われる傾向のあることを認めた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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