研究と報告
精神分裂病にみられる水中毒症ならびに抗利尿ホルモン不適合症候群(SIADH)について—特に水制限試験ならびに水負荷試験の結果から
著者:
浜副薫1
小倉佳代子1
原田豊1
挾間秀文1
西川真理子2
岡崎哲也3
久葉周作4
土江春隆4
杉原寛一郎4
所属機関:
1鳥取大学医学部神経精神医学教室
2西川病院
3湖陵病院
4安来第一病院
ページ範囲:P.1107 - P.1115
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抄録 精神分裂病で多飲症状が認められるもの9例を対象に水制限試験ならびに水負荷試験を施行した。水中毒発作の既往のある者7例のうちSIADHを呈する者をSIADH(+)群(n=2),SIADHを呈さない者をSIADH(-)群(n=5),水中毒発作の既往のない者を多飲群(n=2)とした。①水中毒症の特徴としてけいれん発作後の意識障害が遷延し,特にSIADH(+)群では4日間位持続した。②水制限試験において全症例9例中8例は尿濃縮能が低下し,特に多飲群に著明であった。③水負荷試験において,SIADH(+)群では水利尿ならびに尿稀釈能が著しく障害されていた。水負荷60分後の血清ADHは8例中5例が前値に比べ上昇していた。④水負荷試験でSIADH(-)群,多飲群の6例中5例に濃縮の遅延が認められた。
さらに,水中毒発作時の血清浸透圧調節およびADHの分泌調節動態について視床下部機能の面から検討した。