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研究と報告
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抄録 1971年11月15日より1974年12月31日までの約3年間に,東横第三病院に入院した166名(延べ数276名)の再発分裂病患者から,5年間の経過を観察し,寡発者21名(男子10名,女子11名),多発者74名(男子44名,女子30名),合計95名(男子54名,女子41名)を抽出し,生物学的要因,病理学的要因(症状学的要因),環境的要因の3側面より比較調査した。両者間に有意差の認められた要因は,規則的通院・服薬期間,服薬中断期間,陰性症状,増悪契機,同胞順位であり,陰性症状と増悪契機の間にも差を認めた。これらの結果に基づき多発者,寡発者の条件を知り,多発者は長期の服薬を必要とし,寡発者はその必要を認めない。さらに上記の総合的観察に従って,精神分裂病の再発予防にLennoxのてんかんダム仮説に似た考えが臨床的には適用できるであろうことを考察した。
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