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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻11号

1984年11月発行

文献概要

研究と報告

初老期抑うつ患者の血清Coenzyme Q10

著者: 田代信維1 太田幹夫2 荒木隆次2

所属機関: 1九州大学医学部神経精神医学教室 2産業医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.1189 - P.1196

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 抄録 45歳から65歳の間に初発したうつ病:大うつ病9例,非定型うつ病6例,異常気質病4例と抑うつ気分を伴う適応障害3例,計22例について血清Coenzyme Q10(CoQ)とハミルトンの抑うつ評価点(HRS)を調べた。
 CoQとHRSとの間に有意の負の相関がみられ,特に活動力の減退を表わす評価点との相関が高かった。また大うつ病と非定型うつ病ではCoQが低値を示し(I群),異常気質病と適応障害ではCoQは正常値範囲内にあり(II群),2群に大別された。両群とも血清総蛋白が低く,さらにI群では貧血が,II群では体重減少の訴えが他群に比し有意に高率にみられた。両群での合併症出現はほぼ同率であった。以上よりI群にみられるCoQ低値は慢性化した食思不振に基づく栄養障害によることが,またcoQ欠如で起こる活力減退の諸症状を抑うつ症状の一面として評価している可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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