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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

症例要旨を用いたファイナー診断基準の信頼度検定

著者: 北村俊則1 島悟2 崎尾英子2 加藤元一郎2

所属機関: 1国立精神衛生研究所 2慶応義塾大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1203 - P.1207

 抄録 ファイナー診断基準の診断一致度をみるため4名の精神科医がNew York State Psychiatric InstituteがRDC信頼度検定用に作製した症例要旨31症例について独立して診断し,その上で討論を通じて最終診断を導き,最後にNew York State Psychiatric InstituteによるRDC診断の「正解」と照合した。感情病の診断一致率は高かったが精神分裂病のそれは低かった。この原因として,1)残遺期と寛解期の判別が困難,2)ファイナー診断基準では精神分裂病残遣状態に重なった抑うつ症候群の扱いが不明,3)精神病像にアルコール症が合併している場合の扱いが不明,などの点が指摘された。診断されない精神医学的疾病が診断の半数を占めたが,これは各基準が疾患概念を狭く規定しているためであり,臨床研究において均一な患者集団を選別する操作基準としてファイナー診断基準は有用であると思われた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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