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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻11号

1984年11月発行

文献概要

研究と報告

頭部外傷後に特異な言語行動異常を呈した1例

著者: 元村直靖12 森悦朗1 山鳥重1

所属機関: 1兵庫県立姫路循環器病センター神経内科 2現:大阪医科大学神経精神科

ページ範囲:P.1209 - P.1213

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 抄録 頭部外傷後,特異な言語行動異常を呈した1例を報告した。症例は,34歳女性。頭部打撲後,錯乱状態を経て,一見したところ意識清明な状態となったが,見当識障害,生産的作話傾向,疾病否認,近時記憶の障害を呈し,言語症状としては,特異な物品呼称障害,漢字書字の異常,語義把握の障害を認めた。見当識障害は,人,場所,時の順に改善し,作話,疾病否認,言語異常は,場所の見当識障害に並行して消失した。入院時には,両側性徐波混入が顕著であったが,2カ月後には,正常となっていた。Weinsteinらの記載した,nonaphasic misnamingに類似の状態と考えられたが,物品の選択性は明らかではなかった。本例の言語異常に対して神経心理学的検討を加え報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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