icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻12号

1984年12月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病の入院治療とアフタケアの時代的変遷—精神科初回入院治療例の再入院の防止に焦点を当てて

著者: 小林隆児1 梅田征夫1 佐々木勇之進1 吉永一彦2 西園昌久3

所属機関: 1医療法人恵愛会福間病院 2福岡大学医学部社会医学系総合研究施設 3福岡大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1269 - P.1279

文献購入ページに移動
 抄録 福間病院開設(昭和30年)以来,25年間に当院に入院した分裂病患者2,092例の中から,精神科初回入院治療例1,261例のみを対象に,初回入院治療とその後の退院,アフタケア(外来通院)及び再入院の実態をカルテから調査し,当時の治療構造から3つの時代(①昭和30年代前半:ショック療法から薬物療法への移行期,②昭和40年代前半:薬物療法中心の時期,③昭和50年代前半:デイケア・リハビリテーション重視の時期)に区分し,その時代的変遷を主として精神科初回入院治療後の再入院の防止に焦点を当てて検討し,以下の結果を得た。①入院期間は各時代とも変わらず,6カ月以内に約60%,1年以内に約80%の患者が退院していた。そして,各時代とも初回入院患者の約3%の患者は初回入院後退院出来ず,院内に沈澱していた。②薬物療法の発展により退院時改善度で軽快群が飛躍的に増加し,外来通院も定着していったが,再入院を減少させるまでには至らなかった。③軽快群の退院後の家庭生活(社会生活)の期間も薬物療法の普及によっては延びておらず,昭和50年代のリハビリテーション重視により初めて延びており,そこで初めて再入院の防止の可能性が生まれてきていることが明らかになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?