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紹介
「偸通辨話」考—元緑時代における分裂病の記載
著者: 石井厚1
所属機関: 1東北大学医学部神経科精神科
ページ範囲:P.1334 - P.1340
文献購入ページに移動I.はじめに
偸通辨話6)は,元禄17年(1704年)に沙門明存によって書かれた本文10丁,約5,200字の小冊子である。この本の首題である偸通(偸はうすい,軽々しい,盗むなどの意,明存によると精神が互いに通い合うから偸通と名づけるという)の内容が現代の分裂病性症状とよく似ているので,本書の梗概を紹介し,あわせて二,三の考察をつけ加える。
この本は東北大学狩野文庫(図1a,b)に2冊,九州大学図書館に1冊(図1c)あり,いずれも写本で本文は同一であるが前書きと後書きに異同がある。
恐らく印刷されて刊行されたことはないと思われる。文体は比較的読みやすい漢文書き下し文であるが,一,二方言とも思われる語句がある。
偸通辨話6)は,元禄17年(1704年)に沙門明存によって書かれた本文10丁,約5,200字の小冊子である。この本の首題である偸通(偸はうすい,軽々しい,盗むなどの意,明存によると精神が互いに通い合うから偸通と名づけるという)の内容が現代の分裂病性症状とよく似ているので,本書の梗概を紹介し,あわせて二,三の考察をつけ加える。
この本は東北大学狩野文庫(図1a,b)に2冊,九州大学図書館に1冊(図1c)あり,いずれも写本で本文は同一であるが前書きと後書きに異同がある。
恐らく印刷されて刊行されたことはないと思われる。文体は比較的読みやすい漢文書き下し文であるが,一,二方言とも思われる語句がある。
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