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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻2号

1984年02月発行

文献概要

特集 DSM-III—その有用性と問題点

躁うつ病(感情病)

著者: 藤縄昭1

所属機関: 1京都大学教養部心理学教室

ページ範囲:P.129 - P.135

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I.まえがき
 私に与えられた課題の躁うつ病ないし感情病の概念は,周知のごとく精神分裂病とともに機能性(内因性)精神病を二分する,一つの疾患単位と考えられてきた疾病概念である。ところが,この度テーマとなったDSM-III3)には躁うつ病のカテゴリーがない。DSM-IIIについては既に多くの紹介7,22〜24),翻訳4)もあり,御存知の方も多いと思うが,躁うつ病に対応する病態は「感情障害Affective Disorders」という大きなカテゴリーの一部分であり,「大感情障害Major Affective Disorders」と呼ばれるカテゴリーに殆ど一致する。しかし,完全に対応するわけでもない。
 DSM-IIIの分類のなかで,上述の「感情障害」のところは特に苦労されているところで,それだけにユニークなのだが,また実際的には問題も多い。他の分類,例えば伝統的な分類とかICD-95)とかでは精神病性(内因性),神経症性(心因性)および人格障害などに分けられる感情(あるいは気分mood)の障害を包含している。与えられた課題は躁うつ病であるが,本特集の狙いに沿って,DSM-IIIの「感情障害」全体を問題にしようと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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