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研究と報告
内因性うつ病者における睡眠の縦断的観察—予後判定の一因子として
著者: 斎藤英二1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.205 - P.218
文献購入ページに移動 抄録 Primary,Endogenous Major Depressive Disorders(RDC)と確診された単極性うつ病の入院患者10名に対し,定式化された抗うつ剤amitriptylineを投与して,病盛期,軽快期および退院後の寛解期の3期にわたり睡眠ポリグラフィを行い,得られた資料に因子分析法の適用を試みた。
10名は平均3年6ヵ月追跡され,順調に寛解した予後良好群と遷延化や再発・再燃を示した予後不良群の2群に分けられた。この2群間における睡眠の変動に差異が見出された。予後不良群は良好群と比較して,①病盛期に睡眠率と全睡眠時間が減少し,REM密度の増加を示す,②軽映期にREM密度が減少し,睡眠率と全睡眠時間が増加する(信頼性係数:97.6%)。これらについて主として抗うつ剤の睡眠に対する影響の点から考察を加え,2群間の差異は生物学的異種性に基づく薬剤反応性の相違と考えた。そして治療初期と軽快期に睡眠ポリグラフィを観察することで予後を予測できる可能性を指摘した。
10名は平均3年6ヵ月追跡され,順調に寛解した予後良好群と遷延化や再発・再燃を示した予後不良群の2群に分けられた。この2群間における睡眠の変動に差異が見出された。予後不良群は良好群と比較して,①病盛期に睡眠率と全睡眠時間が減少し,REM密度の増加を示す,②軽映期にREM密度が減少し,睡眠率と全睡眠時間が増加する(信頼性係数:97.6%)。これらについて主として抗うつ剤の睡眠に対する影響の点から考察を加え,2群間の差異は生物学的異種性に基づく薬剤反応性の相違と考えた。そして治療初期と軽快期に睡眠ポリグラフィを観察することで予後を予測できる可能性を指摘した。
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