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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻3号

1984年03月発行

研究と報告

成人ヒスチジン血症の1例—生化学的所見および言語能力の検討

著者: 武者盛宏1 石川達2 石井厚1

所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室 2東北会病院

ページ範囲:P.297 - P.302

文献概要

 抄録 ヒスチジン血症は,臨床的にも生化学的にも変異の大きい代謝異常として知られている。
 我々は重度の精神薄弱をもった22歳のヒスチジン血症例について報告した。生化学的にはclassical histidinemiaであった。患者は小さい頃より,構音障害はないが極めてゆっくりとした話し方をし,言語の理解はよい人であった。言語能力検査(ITPA)で,知能年齢(5歳0カ月)をはるかにしのぐ視覚性受容能力(9歳10カ月)を示し,一方,言語表現能力は3歳10カ月と低かった。このプロフィールは,単に知能障害のほかに,言語表現能力面での障害があると考えられた。
 本代謝異常は発見当初から言語障害との関係で注目されてきたが,十分な検討がなされないままになっている。最近,ガラクトース血症で類似の報告があり,今後,精神発達遅滞の成因との関連で,この方面からの追求が必要であることを考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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