文献詳細
研究と報告
成人ヒスチジン血症の1例—生化学的所見および言語能力の検討
著者: 武者盛宏1 石川達2 石井厚1
所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室 2東北会病院
ページ範囲:P.297 - P.302
文献概要
我々は重度の精神薄弱をもった22歳のヒスチジン血症例について報告した。生化学的にはclassical histidinemiaであった。患者は小さい頃より,構音障害はないが極めてゆっくりとした話し方をし,言語の理解はよい人であった。言語能力検査(ITPA)で,知能年齢(5歳0カ月)をはるかにしのぐ視覚性受容能力(9歳10カ月)を示し,一方,言語表現能力は3歳10カ月と低かった。このプロフィールは,単に知能障害のほかに,言語表現能力面での障害があると考えられた。
本代謝異常は発見当初から言語障害との関係で注目されてきたが,十分な検討がなされないままになっている。最近,ガラクトース血症で類似の報告があり,今後,精神発達遅滞の成因との関連で,この方面からの追求が必要であることを考察した。
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