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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

精神症状を呈したオウム病の1例

著者: 加藤健1 徐慶一郎2 前原勝矢1

所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室 2デンカ生研(株)生物理化学研究所

ページ範囲:P.303 - P.307

 抄録 患者は33歳主婦,セキセイインコ購入後,家族内感染がみられ,頭痛,発熱,乾性の咳等の感冒様症状と嘔吐と下痢をもって発症。約1週間の後,意識の変動に伴い,精神運動興奮,妄想幻覚状態を示した。胸部X線写真にhomogenousな陰影,血清抗体価の異常高値(1024×)を認めオウム病と診断され,後にセキセイインコよりクラジアの分離にも成功した。テトラサイクリンは著効を示し,経過は良好で全経過は21日間。精神症状は症状精神病のそれと考えられたが,オウム病による疾患特異性の可能性も残された。従来オウム病は稀な疾患と考えられていたが,近年増加の傾向にあり,公衆衛生の問題になりつつある。特に本症例は身体症状に加え激しい精神症状を示し,初期には内因性精神病に近似している。このことは内科ばかりでなく精神科領域においても今後接触のあることを意味しており重要な症例と考えた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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