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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻3号

1984年03月発行

文献概要

短報

タバコ喫煙によって誘発された失神発作

著者: 河北英詮1 鈴木守2

所属機関: 1東京医科大学霞ケ浦病院神経科 2豊後荘病院

ページ範囲:P.309 - P.312

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 56歳の男性,17歳より失神発作が発現。16歳より喫煙,47歳より喫煙により失神発作が誘発された。発作はタバコの中のnicotineにより誘発された。
 本症例は頭部CTスキャンにより著明なび漫性脳萎縮,知能低下および自律神経障害が認められた。21年前の気脳写による軽度脳室拡大および知能低下の増強が示された。喫煙誘発時の脳波はび漫性徐波の一過性出現であった。
 nicotineによる失神発作誘発機序は,自律神経系の変性による,所謂denervation hypersensitivityによりcatecholamineに対する過敏性のため,少量のnicotineにより脳循環障害を来し,失神発作が発現したものと考察した。
 なお本症例の失神発作は,極めててんかん脱力発作に類似していたとは言え,漫然とてんかんの診断のもとに治療がなされたことを深く反省している次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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