文献詳細
短報
精神科疾患におけるDexamethasone抑制試験—うつ病を中心として
著者: 島悟1 鹿野達男1 須貝佑一1 北村俊則2 浅井昌弘2 伊藤斎2 加野象次郎3
所属機関: 1川崎市立川崎病院 2慶応義塾大学医学部精神神経科学教室 3慶応義塾大学病院中央検査部内分泌科
ページ範囲:P.313 - P.316
文献概要
最近の神経内分泌学的研究で最も大きな成果の1つは,Dexamethasone抑制試験(DST)によるうつ病診断であり,とりわけ1981年のCarrollらによる報告1)以来注目され,多数の追試が行なわれている。
しかしながらDSTの検査方法,および診断基準はなお確立したものではなく,Dexamethasoneの投与量,採血時間,血清cortisolの測定法,異常値の基準は一定していない。またうつ病以外にも,精神分裂病2,3),強迫性障害4),アルコール症5),痴呆6,7)のなどの疾患においても,かなり高率にDST異常が出現するとの報告もあり,今後に検討を要する問題が数多く残されている。
ところで本邦では,精神疾患を対象としたDSTの報告は僅かしかない8〜10)。今回われわれは,うつ病を主体とする精神疾患を対象としてDSTを施行したので,その成績を報告する。
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