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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻3号

1984年03月発行

文献概要

動き

「第7回世界精神医学会議」印象記(2)

著者: 中根允文1 桜井征彦2

所属機関: 1長崎大学医学部精神神経科学教室 2門司保養院

ページ範囲:P.332 - P.333

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 精神医学の歴史において華やかな光彩を放つウィーンに,約5,000人の参加者を集めて世界精神医学会は開催された。しかし,ウィーンの夏は目中予想外に暑く,これまた予想以上に多くの演題をかかえ,会場は36カ所にも及び,およそその学会印象記を書くにはあまりにも広汎すぎて要約が不可能なほどである。学会の講演は,大きくplenary lecture,section symposia,free symposia,free paper,poster presentationおよびvideo sessionから成り,6日間の期間中実に3,500題にものぼる発表が予定された(うち,日本からの演題は約100題であった)。したがって,編集部の依頼により7月14日から16日までの後半についてのみを展望するにしても,当然その一部にしかふれることは出来ず,偏よった印象記にならざるをえないことを最初にお断りしておきたい。
 14日午前のplenary lectureは,まず神経症や人格障害の概念について6人の講師がこれにあたったが,Kernberg(USA)はborderline personality organizationを例にとってpersonality disorderの重症度分類などについて詳述する講演を行い,Vaillant(USA)は歴史的経過をもとにpersonality disorderの概念的モデルを4型あげて理解を深めようとした。次のplenary lectureは,入院・外来診療における新しい動向と題するものであり,Wing(UK),Henderson(Denmark),Freedman(USA)らが講演した。Wingは精神科的ケアの歴史的展開を明らかにし,HendersonはWHOのヨーロッパ全域に亘る精神衛生活動の現況を報告するとともに,地理的・人口動態的・社会経済的状態の違いが如何に精神保健システムの確立に影響を及ぼすかを明らかにした。Freedmanは,USAにおける州立病院入院患者数の激減と総合病院精神科受診者数の急増を最近の傾向としてとらえ,短期入院や早期退院・維持療法における向精神薬の有用性を強調した。しかし,Riode Janeiroのcostae SilvaやNigeriaのBinitieは,発展途上国における精神保健システムの確立の困難さを強調して対照的であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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