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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻4号

1984年04月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病者の縦断的研究—WAISによる検討

著者: 青柳信子1 澤田幸展2 石川幹雄3 高柳英夫3 高畑直彦3

所属機関: 1札幌花園病院 2札幌商科大学 3札幌医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.375 - P.381

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 抄録 分裂病者の縦断的研究の一環としてWAIS知能診断検査を,分裂病者24名に10年ないし13年の間隔をおいて,前後2回実施した。第1回に比し,再検査時に「全検査IQ」,「言語性IQ」,「一般的知識」,「算数問題」,「符号問題」,「積木問題」,「絵画配列」,「組合せ問題」で有意に下降する症例の多いことが認められた。また,軽症群と重症群との関係では,「全検査IQ」,「言語性IQ」,「一般的理解」で後者に下降する症例の多いことが認められた。さらに,「類似問題」では評価点の相違により,独自な有意差を見出した。
 これらの結果から,長期にわたり病院との関係を持続している分裂病者の多くは歳月の経過の中で知的側面の低下を来すことが示された。しかしながらこの要因には,分裂病者の置かれた,特殊な環境,状況が浮きぼりにされ,分裂病者の本態的変化をとらえてゆくためには,今後さらに厳密な検討が必要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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