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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻4号

1984年04月発行

研究と報告

Cotard症状群を呈した初老期うつ病の2例

著者: 奥山哲雄1 石川元1 今泉寿明1 藍澤鎮雄1 大原健士郎1 大西守2

所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室 2東京慈恵会医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.383 - P.389

文献概要

 抄録 近年ヨーロッパでも激減しているとされる14)否定妄想の2症例(46歳女性,52歳男性)を,初老期うつ病の妄想主題選択という視点から考察した。両症例はともにメランコリー親和型の病前性格を持っており,農村の都市化のなかで,かたくなに祖先の土地を守ろうとする価値観と,周囲との関係を円滑に保とうとする価値観の二重性が認められた。またその背後には山口ら19)のいわゆる地域文化摩擦が,彼ら自身の中に認められた。彼らの示した罪責感から否定妄想へと妄想主題が発展してゆく過程は,彼らのおかれた社会文化的背景と密接に関係していた。また治癒過程では彼らの価値感の変遷が認められ,より現代風に統合されていくのが観察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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