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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

Anorexia Nervosaの1剖検例—神経病理学的所見および生化学的分析

著者: 小林一成14 新井平伊14 池田研二1 小阪憲司12 福田芳郎3 飯塚礼二4

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2東京都精神医学総合研究所神経病理研究室 3順天堂大学医学部病理学教室 4順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.417 - P.423

 抄録 典型的なanorexia nervosaの1剖検例(19歳女性)を報告した。神経病理学的検索は右半球について行われ,光顕的には,大脳白質の広汎な線維性グリオーゼ,その他小脳歯状核門,小脳白質,オリーブ核にも同様のグリオーゼを認めた。この所見を栄養障害による軽度の慢性低酸素状態と結びつけて考察し,また低血糖の影響についても考察を加えた。左半球において行われた生化学的検索では.HVA量の低値,DA代謝の低下,5HT,5HIAA量の低値および5HT/5HIAAの視床下部における低値を認め,モノアミン代謝の障害が示唆された。anorexia nervosaにおいて,以上のような変化が起こりうることを考慮して,身体的管理を充分に行うことが重要であることを強調した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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