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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻5号

1984年05月発行

文献概要

研究と報告

精神科治療を継続している遅発性ジスキネジア患者の5年後の経過観察

著者: 越野好文1 倉田孝一2 伊崎公徳1 山口成良2

所属機関: 1福井医科大学神経精神医学教室 2金沢大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.503 - P.511

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 抄録 遅発性ジスキネジア(Tardive dyskinesia,以下TD)患者46人(男子17人,女子29人)の5年後におけるTDの変化を調べた。初回調査時の年齢は37〜71歳で,平均年齢±S. D. は56.6±9.3歳,原疾患の平均罹病期間は24.1±8.6年であった。5年の間,主治医の判断による精神科治療が継続された。ただ,初回調査時既に抗精神病薬を服用しなくなっていた例が4人あり,さらに3人が,5年の間に抗精神病薬を中止された。
 5年後にTDが軽快した例は9人,不変の例は26人,そして悪化した例が11人であった。悪化例の平均年齢は59.9±8.1歳で,不変例の57.6±9.6歳および軽快例の49.7±5.3歳より有意に高齢であった。原疾患の平均罹病期間も,悪化例が26.1±7.0年,不変例は24.7±8.1年そして軽快例は20.2±10.2年で,有意でないが,悪化例が長い傾向があった。性別,初回調査時の服薬量,経過中の服薬量の変化,原疾患,身体的合併症の有無TDの重症度や出現部位とTDの変化との間には有意な関連はみられなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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