研究と報告
精神分裂病患者に及ぼすTRH analogue(DN-1417)の影響
著者:
水木泰1
高田芳子2
池松昭子2
辻丸秀策2
手嶋茂紀2
橋本雅彦2
今任信彦2
田中孝道2
富松愈2
台之尊啓次郎2
西島英利2
加藤一郎2
野中健作2
桜田裕2
原村耕治2
中村純2
上妻剛三2
向笠広和2
小島秀樹2
稲永和豊2
所属機関:
1山口大学医学部神経精神医学教室
2久留米大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.513 - P.519
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抄録 6名の分裂病患者にTRHの誘導体のひとつであるDN-1417を1mg/dayで14日間筋注し,患者のBPRSの得点および脳波の変化を投与中止後14日目まで観察した。その結果BPRSの総合得点はDN-1417投与後1週目,投与中止後1週目および2週目にcontrolと比べて低下する傾向を示した。各項目別には,思考障害を示すと思われる項目の得点が総合得点と同様の変動を示した。frontalの脳波のpower値はDN-1417投与後1週目にはcontrolと比べて軽度に,また投与中止後1週目には著明に上昇した。両側temporalの比較では,controlにおいて認められた徐波帯域での左右差が,DN-1417投与を開始すると次第に消失し,投与を中止すると再び出現し始めた。以上の結果よりDN-1417を分裂病患者に投与した場合,主に陽牲症状を改善させる可能性があること,さらにDN-1417投与とtemPora1の脳波の左右差が,またBPRSの得点とfrontalの脳波が比較的よく一致して変動することが示唆された。