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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻6号

1984年06月発行

文献概要

研究と報告

Clomipramine-LithiumあるいはMaprotiline療法によってけいれん発作を起こした躁うつ病の1症例

著者: 渡辺裕貴1 渡辺雅子1 亀井健二1 滝川守国1 松本啓1

所属機関: 1鹿児島大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.599 - P.606

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 抄録 26歳女性の内因性躁うつ病の1症例にclomipramineとLi2CO3の併用療法を行ったところ,その経過中に,血中Li濃度は低いにもかかわらず,強直間代性の全身けいれん発作を生じた。本症例は,けいれん性疾患の既往歴や家族歴を有さず,また過去の脳波検査でも異常を認めないことから,薬物性けいれんを疑い精査を行った。その結果,clomipramine単独投与によって,脳波異常及び全身けいれん発作が出現したが,Li2CO3単独投与では,けいれん発作のみならず,脳波異常も出現しなかったため,本症例のけいれん発作はclomipramineによる薬物性けいれんであろうと推定した。また本症例はmaprotilineによってミナクローヌス発作を生じた。いずれの発作も薬物中止により消失し,脳波も速やかに正常化した。これらの薬物のけいれん発作誘発機序に関する文献的考察を合わせて行い,報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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